お試しに

恥ずかしい文章を。

「なんだかラピュタが飛んでそうな空だよね」
青い透明でそれでいて深い抜けるような青。綺麗な空に真っ白な雲。
見上げる表情はにこやかで、見ているこっちも嬉しくなる。
「そうだね」
返して僕も見上げる。太陽はまだ真上付近にあってまぶしい。手で影を作り、目を細めて広い空間をみる。
風が涼しい。足下には緑の草。
幸せというのはこういう情景を言うのかもしれないなんて漠然と思ってみたり。
ピクニックなんてと思っていた自分を苦笑混じりに思い出す。
最近ソトへは出ていなかった。建物の中ばかりで。だからこんな世界もあったのだと忘れていた。
これも現実。これも僕の世界。こんな綺麗な物だってこの世にはあるんだ。
この中に居られることが奇跡のよう。
視線を下ろしたら僕を見ている目とぶつかって、お互いに思わず口をゆるめる。
キミとふたり。
幸せという言葉。
今この時を得られた僕の力。
僕は自分で思うよりきっと運が良いんだ。
「向こうの木陰でお弁当にしようか」
そう言って歩き出す。
明日からはまた地下に篭もる。でも今は関係ない。